○夕方・心菜の家(一般的な二階建て一軒家)

1階のキッチンで、心菜は夕飯のカレーを作っている。


父親は現在単身赴任中で、心菜は看護師の母と二人暮らし。


心菜母「ごめんね、ここちゃん。いつもご飯作ってもらっちゃって」

心菜「いいよ。お母さんはこれから夜勤なんだから。そんなの気にしないで」

心菜母「ありがとう。あのね、ここちゃん。お母さん話があるんだけど……」

心菜「話?」


心菜が首を傾げたとき、家のインターホンが鳴った。


心菜母「あっ! 来たかしら。はーい」

母が上機嫌で、玄関のほうへと走っていく。


心菜母「あら、いらっしゃい。今日は疲れたでしょう? さあ、上がってちょうだい」


「お邪魔します」という声とともに、母と一緒にリビングへと入ってきた人物に、心菜は目を丸くする。


心菜「そっ、颯真くん!?」


そこにいたのは、ついさっき学校で再会したばかりの幼なじみ・相川 颯真。


心菜「なっ、なんで颯真くんがウチに!?」


颯真は学校で会ったときと同じスーツ姿なのに加え、黒の大きめのキャリーバッグを持っている。


颯真「なんでって俺、今日からここに住むから」


心菜(はい!? 颯真くんがウチに住むって一体どういうことー!?)