再会した幼なじみと、ひとつ屋根の下



○2年C組の教室。2限目・数学の授業中


一番後ろの心菜の席の後ろには、颯真が座っている。(パイプ椅子)


心菜(颯真くんが後ろにいると思うと、緊張しちゃって授業に集中できない……。)


ちらっと後ろに目をやると、数学の中野先生の授業を真剣に聞き、時折メモを取る颯真の姿が。


心菜(颯真くん、かっこいいなぁ)


中野先生「はい。それじゃあ今から次の問1から問3までの問題を解いてくれ」


中野先生の言葉に、心菜は慌ててペンケースからシャーペンを取り出す。


心菜「あっ」


すると手が滑って、シャーペンが床へと落ちてしまう。

心菜の席から少し離れたところまで、コロコロと転がっていってしまった。


心菜が、椅子を引いて立ち上がろうとすると。

それよりも一足早く後ろの颯真が立ち上がり、転がったシャーペンを拾いにいく。


颯真「はい」

拾ったシャーペンを、颯真が心菜の机の上にのせてくれる。


心菜「あっ、ありがとうございます」
颯真「……べつに」


無愛想にそれだけ言うと、颯真はまた自分の椅子へと戻った。


心菜(シャーペンは、颯真くんの席から離れたところに転がったのに。わざわざ拾いに行ってくれたなんて。)
(さっき『話しかけないで』って言われちゃったけど。颯真くんは、やっぱり優しい)