○心菜の家・玄関
心菜「ただいま」
颯真「おかえり。心菜、あれからおでこは大丈夫だった?」
心菜が学校から帰宅すると、颯真が迎えてくれた。
心菜「あれ? 颯真くん、今日は帰り早いんだね」
心菜がチラッと玄関の時計を見ると、
時刻は17時を過ぎたところ。
心菜(颯真くん、いつも帰宅は18時を過ぎることが多いのに)
颯真「心菜のことが心配だったから。今日は早く帰らせてもらった」
心菜「そうだったの!? ごめんね、心配かけて。もう大丈夫だよ」
颯真「そっか。それなら良かった」
微笑む心菜に、颯真も笑顔になる。
颯真「そうだ、急に雨降ってきただろ? 濡れなかった? もし何なら、先に風呂入る? 沸かすよ」
心菜「ああ。それなら、拓弥が傘貸してくれたから。あまり濡れずに済んだよ」
浴室へと向かっていた颯真の足が止まる。
颯真「拓弥って……またアイツか(ボソッ)」
心菜「え?」
颯真「あ、いや。松木くんは優しいんだな」
颯真は笑ってはいるが、目は笑っていない。
心菜「そうなの。拓弥ってけっこう優しいんだよ。今日もお見舞いにってキャンディくれたし」
心菜がスカートのポケットから、先ほど拓弥にもらったいちごのキャンディを2つ取り出す。
颯真「へぇー」
心菜(あれ? 颯真くんの声、いつもよりなんか低いような……気のせい?)
心菜「そうだ。颯真くん、キャンディいる?
甘いもの好きでしょ? 貰い物だけど、良かったら……」
拓弥からもらったキャンディを心菜が颯真に差し出すと、それを受け取り無言で食べる颯真。
心菜「美味しい? 颯真くん」
颯真「…………」
心菜(甘いもの大好きなはずの颯真くんが、無表情でキャンディを食べているなんて。こんなことは初めてかも)
心菜(もしやこれは、相当機嫌が悪い?
え、でもなんで? あ。もしかして、私が拓弥の話をしたから……とか?)



