○1階・保健室。
颯真「すいません」
養護教諭「あらあら、どうしたの」
颯真「宮脇さんのおでこに、ボールが当たってしまいまして」
養護教諭「あら大変! 少し腫れてるわね。これでしばらく冷やしてくれる?」
心菜「はい」
ベッドに座り、養護教諭の先生から渡された保冷剤をおでこに当てる心菜。
養護教諭「私、職員室に呼ばれたから。悪いけど、ちょっとだけ離れるわね」
先生が保健室を出ていき、心菜と颯真のふたりきりになる。
シーンと静まり返る保健室。
颯真「……大丈夫か?」
ベッドに座る心菜の隣に腰掛け、心配そうな眼差しで心菜を見つめる颯真。
心菜「これくらい、大丈夫だよ」
時間が経つにつれて痛みが増してきていたが、心菜は颯真に心配をかけたくなかった。
颯真「何言ってんだよ、バーカ」
心菜「んんっ」
颯真に鼻をつままれる心菜。
颯真「おでこ痛むんだろ? 俺の前では、我慢しなくて良いから」
心菜「ご、ごめん。颯真くんは、やっぱり何でもお見通しだね」
颯真「当たり前だろ。心菜が生まれたときからずっと、俺は心菜のことを見てきたんだから」
颯真が優しく、心菜の頭を撫でてくれる。
颯真「ほんと、俺たち年の差はあるけど。俺は今までずっと、心菜のことだけしか見てなかったよ。大学で離れていた間もずっと、心菜を忘れたことなんてなかった」
心菜「ほんと……?」
颯真「ああ。だって俺にとって心菜は……ずっとずっと大切な女の子だったから」
窓から入ってきた爽やかな風で、ベッドのそばのカーテンがふわりと揺れる。
颯真「心菜。俺は、お前のことが……」



