再会した幼なじみと、ひとつ屋根の下



心菜(こっ、これは……)

颯真「心菜って確か人参好きだったよな?」
ニヤニヤ顔の颯真。

心菜「違うよ。人参は好物じゃなくて、苦手なの!」

颯真「あれ? そうだったっけ?」


心菜(颯真くんったら、とぼけちゃって。これは、絶対覚えてたでしょう)

心菜(颯真くんは5歳年上だけど、昔からこんなふうに少し意地悪なところがある。小学生のときだって……)


〈回想〉

○小学生の夏休み・家の近所の公園(日中)


颯真「心菜、お前にこれやるよ。手、出してみ?」

心菜「なに? 颯真くん……って、きゃあ」


颯真に言われた通り手を出すと、手のひらに蝉の抜け殻をのせられて悲鳴をあげる心菜。


颯真「ふははっ! 心菜、引っかかったぁ」

心菜「もう、颯真くんのバカ〜〜!」

颯真「言っとくけど、俺が意地悪するのは心菜だけだからな」


〈回想終了・先ほどの場面に戻る〉


あの頃は颯真くんもまだ小学生だったとはいえ、色々と意地悪されたなぁと思い返しながら、心菜は人参をひとつふたつと口にする。


颯真「へぇーっ。いつの間にか人参、食べられるようになったんだ。エライな心菜。成長したじゃん」


颯真がわしゃわしゃと、心菜の髪を撫でてくる。


「もう! 子ども扱いしないでよ」と言いながらも、昔と変わらない颯真を見てなんだかんだ嬉しくなる心菜だった。