ザラの私室にて、テーブルを挟んでジェニットとザラが向かい合って座った。義足にもかかわらず、ザラの足を組む仕草が偉そうで似合っている。エドワードが喜んで跪きたくなる絵面だ。


正面にジェニットが座ると、ザラはテーブルの上に両手を組んだ。一晩考えた領地改革の第一回会議が始まる。


「ジェニット、今この領の最大の問題は何かの?」

「お金です。貧困してます」

ジェニットは即答した。瞬発力が良いのがジェニットの魅力だ。


「不作が続いたのを発端に巻き返せてません。職にあぶれる人が増えて、スラムで子どもが飢えてます。私、領主として現状を変えられないのが本当に悔しくて」


眉間に深く皺を切りつけるジェニットが、きちんと現状を理解していることにザラは微笑んだ。

見込んだ通り可愛く賢い良い娘だ。