何やら,ごそごそとした音が聞こえる。
どれくらい眠っていたかは分からないけど,人の存在に緊張を感じて,私は目を覚ました。
「う……どうしよう。なんで先生いないの?
勝手に漁ったらよくないよね」
人が近くで寝ているのに,焦って配慮を忘れるその人は
「あんた,なにしてるの,月くん」
シャーと静かにカーテンを開けると,目の前の月くんはぱっと顔を輝かせる。
スリッパを履きながら私が片足ずつ下ろすと,今度はしょぼんとした顔をした。
「ご,ごめん。起こしちゃった? 頭痛って聞いたけど,大丈夫?」
寝癖大丈夫かなとしか考えていなかった私への言葉に,私はふ……と笑う。
「私はもう大丈夫。それで,どうしたの?」
「今日のバレーで突っ込んじゃって。ほら,この二の腕の上の方」
「……ああ」
「傷はあんまし痛くないし,ちっちゃいんだけど。俺血がちょっと嫌いだから隠してもらおうと思ったんだ」
きゅるるとした顔を向けられて,私はどうにかしてという信号を受け取った。
「探してるのは絆創膏でいいの?」
「うん」
「ふーん」
流石! とでも言うような満面の笑み。
残念,私はそれがこの部屋のどこにあるかなんて知らないよ。
でも,そうだね,良かった。
「……このサイズで,足りる?」