私は「会いたい」と気軽に誘えるほど素直な人間ではない。だから、陸と会う為の理由を作った。
「乃亜ちゃん髪染めたんだ!超可愛い!」
週末、楓にお下がりの服をあげるという口実のもと、午前から陸の家へとお邪魔した。
「ありがとう、楓。おばさんは?」
「今日はおばあちゃんとこ行くんだって。だからお兄ちゃんしかいないー」
陸の在宅に、心が躍る。
「こんなにいっぱいもらっていいの?」
大きな紙袋を見て、楓は言った。
「いいのいいの。制服のシャツも、高校は指定のものがあるから着られなくて」
「嬉しい〜。助かる!」
「いつもお古ばっかりあげてごめんね」
昔から、私の服を着る楓を見ると嬉しくなるのは、ひとりっ子の私も少しだけ、姉気分になれるからだろうか。
「うっす」
居間で女子ふたり、服とトークを広げていると、スウェット姿の陸がやって来た。
「乃亜、来てたんだ。おはよ」
「お、おはようっ」
十五年間毎日言い続けた「おはよう」を久々に言えるというだけで、気分は弾む。
寝癖たっぷりの陸は、目をこすりながら食卓につく。
「そういえば、乃亜に連絡しようと思ってたんだよな、俺」
「なんで?」
「歴史日本漫ガタリ最新刊、出た」
これは私の気分を更に高揚させる、最強のワードだ。
「よ、読みたい!」
「まだ買ってねえから、後で買い行くか」
大好きな漫画本に、久しい陸。テンションはマックスだ。
「乃亜ちゃん髪染めたんだ!超可愛い!」
週末、楓にお下がりの服をあげるという口実のもと、午前から陸の家へとお邪魔した。
「ありがとう、楓。おばさんは?」
「今日はおばあちゃんとこ行くんだって。だからお兄ちゃんしかいないー」
陸の在宅に、心が躍る。
「こんなにいっぱいもらっていいの?」
大きな紙袋を見て、楓は言った。
「いいのいいの。制服のシャツも、高校は指定のものがあるから着られなくて」
「嬉しい〜。助かる!」
「いつもお古ばっかりあげてごめんね」
昔から、私の服を着る楓を見ると嬉しくなるのは、ひとりっ子の私も少しだけ、姉気分になれるからだろうか。
「うっす」
居間で女子ふたり、服とトークを広げていると、スウェット姿の陸がやって来た。
「乃亜、来てたんだ。おはよ」
「お、おはようっ」
十五年間毎日言い続けた「おはよう」を久々に言えるというだけで、気分は弾む。
寝癖たっぷりの陸は、目をこすりながら食卓につく。
「そういえば、乃亜に連絡しようと思ってたんだよな、俺」
「なんで?」
「歴史日本漫ガタリ最新刊、出た」
これは私の気分を更に高揚させる、最強のワードだ。
「よ、読みたい!」
「まだ買ってねえから、後で買い行くか」
大好きな漫画本に、久しい陸。テンションはマックスだ。



