「先生に呼ばれてなにもないわけないじゃん! なんでそんな嘘つくの!?」


「大きな声出すなよ。めんどくせぇな」

留伊としては教室内で説明できることではない。
けれど優はそういった考慮もできずにただただ機嫌を損ねるばかりだ。

大人しくていた涼香がそんなふたりを見てオロオロし始めている。
自分がふたりの間に割って入ってもうまく行かないことがわかっているようで、助けを求めるように周囲に視線を泳がせる。
けれどそれに手を貸す生徒は1人もいなかった。

優と留伊の喧嘩に巻き込まれるなんてみんなゴメンなんだ。


「めんどくさいってなによ! 私が心配してるのに!」

「いつまでも自分が特別って顔すんなよ」

「なによ!!」


優の顔が真っ赤に染まる。
今にも周囲のものを投げ飛ばしてしまいそうな雰囲気がある中、大股で教室から出ていってしまった。

留伊は苛ついたように顔をしかめてため息を吐き出し、涼香は優を追いかけることもできずにまた立ち尽くしていたのだった。