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小高先生は私に弱みを握られていることに相当怯えているのか、その後の行動はとても迅速なものだった。
まず、私が撮影した動画を再確認して被害者を特定する。
その被害者に話を聞き、同意を得た上で一緒に剣道部の顧問へ事実を告げに行ったらしい。
剣道部の後輩は最初は青ざめて怯えていたみたいだけれど、我慢の限界が来ていたのだろう。
留伊にイジメられていることを認めて、竹刀で殴られた青あざも先生に見せたらしい。
こうなってくると剣道部の顧問だって黙ってはいられない。
そもそも、本当に留伊のイジメについてなにも知らなかったようで、相当なショックを受けていたという。
「中西、ちょっといいか?」
昼休憩中。
みんながお弁当を食べ終えたタイミングで小高先生が教室へ入ってきて留伊を呼んだ。
優とおしゃべりをしていた留伊は小高先生に怪訝そうな表情を見せるものの、どうせ大した用事ではないのだとうとついていく。
1人になった優を見てすぐに涼香が近づいて行った。
「優、喉乾いてない? なにか買ってこようか?」
手もみしながら訊ねる涼香を優が睨みつけた。
「いらない。さっきご飯食べたばっかじゃん」



