不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−

☆☆☆

トイレからすぐに出てきたのは春菜の言葉を聞きたくなかったからじゃない。
当然、今更なに言ってるんだという気持ちにはなったけれど、早く教室へ戻って優の反応を拝みたかったからだ。

A組の教室に戻って自分の席につくと、そのタイミングで優が教室へ戻ってきた。
当然のように涼香を後方に引き連れている。


「優のシュート全部決まってたね! さすがだよねぇ!」


涼香がさっきの体育の授業を思い出して興奮気味に言っている。
優もまんざらではない様子で微笑んでいる。

誰も優の独壇場を止めなかったんだからシュートが入るのは当たり前なのに、本気で言ってるんだろうか。
聞いていて呆れる内容だった。
なにも知らない優はご機嫌で自分の席に座る。

そして次の授業の準備をするために机の中に手を入れて……怪訝そうな表情になった。
きっと今、優の指先には私が入れた紙が触れているはずだ。

涼香は優の小さな変化に気がつくことなく勝手に話し続けている。
優はそんな中、そっと紙を机から取り出して膝の上で開いて確認した。

その瞬間、優の顔がこわばった。
紙を机の中に戻して教室内を見回している。