不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−

心の中で優へ向けて毒づくが、留伊との会話がはずんでいるのですでに私の椅子を使っていることなんて忘れているかもしれない。
苛立ちが胸を刺激する。

いっそ優の前に立ってその頬を平手打ちできればスッキリするのに。
その様子を想像して、思わずひとりニヤけてしまう。
芸能人だろうがなんだろうが、人の邪魔をしていいわけじゃないと思い知らせてやるんだ。

自然と拳を握りしめた時、また誰かが登校してきた。
視線の先に現れたその人に私の体温は一気に上昇していく。

教室に入ってきたのは水村正広だった。
正広は175センチのスラリとした体型で、留伊みたいにゴツゴツした体つきをしてはいない。
顔立ちは柔らかくて、誰にでも優しく接してくれるタイプだ。


「おはよう」


正広は教室にいる全員へ向けて挨拶をする。
その人の良さから大半の生徒から返事が返ってくる。