不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−

「そういえばさぁ!」


やけにわざとらしく大きな声が教室に響いて私は自然と視線をそちらへ向けていた。
ニヤついた笑みを浮かべる涼香と視線がぶつかる。
涼香は相変わらず優と一緒にいて、優は涼香の次の言葉を待っているようだ。


「さっきあいつが優のこと睨んでたよ」


不意に涼香に指を差されて私は戸惑った。
誰か別の生徒だろうと思っても、私の後ろは窓になっていて誰もいないことはわかっていた。

教室にいる生徒たちの視線が私へ向かう。
すでにひそひそとなにか話し始める女子生徒たちの姿もあった。


「私は……なにも」


どうにか声を絞り出してみるものの、うまく行かない。
普段は学校で声を出すことが滅多にないから、こういうときに強く出ることができない。
私の声が優まで届くことなく、消えていく。


「へぇ? なんで?」


優がゆっくりと立ち上がり、質問しながら近づいてくる。
身長は私と大差ないのに、威圧感で完全に負けていた。
涼香が優の後ろから笑みを浮かべてついてきている。

私は涼香を睨みつけた。
優のご機嫌を損なわないためなのか、涼香は時折こういう嘘をつく。
そして涼香も事実確認をろくにしないままそれを信じている。