不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−

その様子に私はスカートのポケットからスマホを取り出してこれみよがしに机の上に置いて見せた。
その仕草だけで小高先生の顔がサッと青ざめる。

すぐに視線がそらされて、わざとらしい咳払いを繰り返す。
するとホームルームはあと5分残っているというのに、教卓の上の出席簿を片付け始めたのだ。


「き、今日はこれくらいだ。気をつけるように」


口の中でもごもごと生徒たちへ声をかけると、そそくさと教室を出ていったのだった。


「今日の小高の小言ほとんどなかったね」


小高先生が出ていって十分時間が経ってから、そんな声が聞こえてきた。


「ほんとだよね。いつもはホームルームギリギリまで文句言うのにね」


「明日もあんな風にすぐに終わればいいよね」


女子生徒たちは清々しいような声色で喜んでいる。
私は立派な人助けをした気持ちになって胸を張る。
小高先生が小言を言わなかったのは私のおかげなんだよ。

これかさ先もずっと、私が弱みを握っている以上は小言なんて言わせない。
そう言ってみたい気持ちになる。

だけどもちろん内緒だ。
これは私だけに与えられた特権でもある。

小高先生についてはこれからもまだまだ利用できそうだ。
そう思っていたときだった。