不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−

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それからしばらくしてホームルームが開始された。
担任の小高先生は昨日のことなんて忘れてしまったかのようにいつもの調子で話し始める。
最近立て続けに起きている鳥殺しの件を持ち出して、犯人が近くにいるかもしれないから注意するようにと言ったあと、生徒たちを見回す。

小高先生は生徒に向けて小言を言う時、一旦その生徒たちの顔を眺めるのが常だった。
今日はどの生徒を吊し上げてやろうか。
そう考えているのが透けて見えているようだ。

だから生徒たちはみんな小高先生から視線をそらせる。
自分が標的にされてはかなわないから、できるだけ小高先生を見ないようにする。
だけど私は背筋を伸ばしてジッと先生を見つめた。

このホームルームの時間で何度も名前を出されてネチネチと小言を言われたことがある。
けれど小高先生は優と留伊に関しては何も言わないのだ。
クラス内の序列を理解していて、強い2人には楯突かないようにしているのがわかった。

その代わりに私みたいな順位の低い生徒が毎回槍玉に挙げられる。
でも、今日からは違う。

小高先生と視線がぶつかる。
一瞬、小高先生は獲物を見つけたハンターように口角をねじ上げた。
今日の標的を発見したとでもいうように。