まただ。
いつもの流れが始まって重たいため息を吐き出す。
今日はせっかくいい気分で帰ってきたのに、これじゃ台無しだ。

私は父親の話を聞き流しながらパスタを食べる。
さっきまでおいしかったはずの夕飯も、今では美味しさが半減してしまったようだ。
ご飯を食べ終えても父親からの勉強への説教はまだ続いていた。


「ねぇ、いい加減にしてよ」


思わず強い口調で言ってしまった。
母親と父親が同時に動きを止めて唖然とした表情で私を見つめている。
普段の私なら心の中で毒づいているだけで、それを決して口に出したりはしなかったからだろう。


「私だってちゃんと勉強してるし、息抜きは必要だと思うけど」


今度は少し穏やかな口調で言った。
喧嘩になったらそれも面倒だ。

私が父親に言い負かされることは目に見えているから。
父親は軽く咳払いをして私から視線を反らせると「そうか。勉強しているなら、まぁいいんだ」とぎこちない口調で言ったのだった。