不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−

なにげなく優へ視線を向けると、優は手鏡を取り出して前髪のチェックに余念がなかった。
私の後ろの席の涼香もひっきりなしに欠伸している声が聞こえてくるし、根暗な風翔もうつむいて座っているばかりで真面目に話を聞いているようには見えなかった。

こんな状態でよくここまで長話ができるものだと関心してしまう。
そしてようやく地獄のような15分間が終わり、私は大きくため息を吐き出した。

15分間も自分を否定され続けていた気持ちになり、胸の中の澱は更に深く溜まってしまったような気がする。
ため息は、そんな澱を少しでも減らすための行為だった。


「まじで小高ダルイんだけど」


ホームルームが終わるとすぐに涼香が優に近づいて愚痴をこぼす。
涼香や優たちだけじゃない、おとなしい生徒たちもホームルームが終わるとホッとしたような表情を浮かべる。

小高先生への鬱憤はこのクラス中に蔓延していることだった。
私はそんなクラスメートたちを尻目に、小高先生の後を追って教室を出たのだった。