不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−

☆☆☆

あまり楽しくもない家族団らんの時間を終えてお風呂に入り、再び自分の部屋に戻ってきていた。
やっぱり、私は1人でいるときの方が気持ちが落ち着くみたいだ。

ベッドに潜り込んで電気を消せば今日1日の出来事が蘇ってくる。
できれば忘れてしまいたいようなことばかりだったけれど、正広を見つめることができたことに関しては良しとしよう。
そしてうつらうつらしてきた、その時のことだった。


【今夜も始まりました! 不穏ラジオのお時間です!】


突然聞こえてきた軽快な音楽と、男性の声に私の意識は急速に引き戻されていく。
電気の落ちた部屋の中を見回してみても誰もいない。
だけど確かに聞こえてきた音楽と声にとまどい、ベッドの上に上半身を起こした。


「誰かいるの?」


声をかけてみるけれど、どこからも返事はないし、人の気配も感じられない。
私は戸惑いながら枕元へ手を伸ばしてリモコンで電気をつけた。

急に明るくなった室内に目を細める。
やはり、部屋の中には誰もいないみたいだ。
だけど軽快な音楽だけはまだ聞こえてきている。