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家に帰ると母親がテレビをつけっぱなしにしてソファで眠っていた。
テーブルの上には網掛けのなにかが置かれている。
こんな真夏に編み物なんてよくやる気になるなぁと思いながらテレビを消して2階にある自分の部屋へ向かった。
子供の頃から使っている勉強机にカバンを置き、スマホだけ持ってベッドに横になる。
SNSをや動画を確認していると、1時間なんてあっという間に経過してしまう。
リビングで眠っていた母親が起き出したようで階段を上がってくる足音が聞こえてきた。
私はベッドから机の椅子へと移動する。
一応勉強していた素振りをみせておくのだ。
やがて部屋にノック音が聞こえてきて、返事を待たずにドアが開かれた。
こちらの返事を待たないのにノックをする必要があるのかと、いつも思う。
「おかえり麻衣子」
「うん、ただいま」
私は開いたばかりの教科書から顔を上げて答えた。
母親は私が勉強していたと勘違いして、なにも文句は言ってこない。
ただ、今晩なにが食べたいか訊ねてきただけだった。
私は「なんでもいいよ」と気のない返事をして教科書へ視線を戻した。
母親もそれ以上なにか聞いてくることもなく部屋を出ていったのだった。
家に帰ると母親がテレビをつけっぱなしにしてソファで眠っていた。
テーブルの上には網掛けのなにかが置かれている。
こんな真夏に編み物なんてよくやる気になるなぁと思いながらテレビを消して2階にある自分の部屋へ向かった。
子供の頃から使っている勉強机にカバンを置き、スマホだけ持ってベッドに横になる。
SNSをや動画を確認していると、1時間なんてあっという間に経過してしまう。
リビングで眠っていた母親が起き出したようで階段を上がってくる足音が聞こえてきた。
私はベッドから机の椅子へと移動する。
一応勉強していた素振りをみせておくのだ。
やがて部屋にノック音が聞こえてきて、返事を待たずにドアが開かれた。
こちらの返事を待たないのにノックをする必要があるのかと、いつも思う。
「おかえり麻衣子」
「うん、ただいま」
私は開いたばかりの教科書から顔を上げて答えた。
母親は私が勉強していたと勘違いして、なにも文句は言ってこない。
ただ、今晩なにが食べたいか訊ねてきただけだった。
私は「なんでもいいよ」と気のない返事をして教科書へ視線を戻した。
母親もそれ以上なにか聞いてくることもなく部屋を出ていったのだった。