玄関横には広い駐輪場とゴミ捨て場が設置されていて、そのどこにも人の姿は見えなかった。
風翔はもう行動を移しているだろうか?

私はアパートの外周ををぐるっと一周して確認してみたが、どこにも風翔の姿はない。
一足遅かったのかもしれない。

鳥を殺すという行為はもっとひと気のない時間帯に行われていてもおかしくはない。
今日は不発だったか。
明日出直してくるしかなさそうだ。

せっかく30分も前に家を出たのにと、肩を落として歩き出す。
アパートの近くには公園もあり、家族で暮らしやすい設計になっているのがわかった。

この公園を突っ切れば学校まで近道になるかもしれない。
そう思って公園に一歩足を踏み入れたときだった。

公園の奥の茂みからガサガサと音がして身構えた。
背の低い植木が揺れたかと思うと、そこから一羽のハトが飛び立った。

なんだハトか。
ホッと胸をなでおろしてから気がついた。

この公園はハトが多いようだ。
アパートの住民たちが餌付けをしているのか、ブランコの上やベンチの上に沢山止まっている。