翌日。
 
 朝から夏休みに向けて新たな提携リゾートから来た予約表をパソコンに取り込んで、社内メールに添付しようと格闘していた。すると、課長から声をかけられた。

 「早見さん。ちょっといい?」

 「はい」

 課長は打ち合わせ室へ入っていく。ドアを閉めて向かい合わせに座る。課長は去年結婚したばかり。今の奥さんと付き合いはじめてから結婚までなんと半年。

 それも婚活お見合いみたいなもので出会ったそうで、飲み会の時、どれだけそれがよかったか私に啓蒙した。そのせいで私はその婚活倶楽部に入ろうかと検討しているのだ。

 彼女と付き合いだしてからというもの、課長はいつもご機嫌だ。プライベートが幸せだと会社でも穏やかで助かる。
 その課長が珍しく急に困った顔をした。

 「実はね、早見さん。急なんだけど、君は小暮さんと交代で次の株主総会担当になる。そして総会後つまり七月から総務部と法務部の兼務になる。半分異動みたいなもんだ。今の担当の高梨君も同様だ」