悠久の絃

僕が引き取っても良いですか?







なんなら、僕に引き取らせてください。」




会議室が、一瞬だけ、騒がしくなった。



院長「赤城先生。いや、悠先生。それは、それ相応の覚悟を持った発言だと自覚しているかい?

君は2年目の研修医かつ、首席でうちの付属大学を卒業しているよね。我々はこれから君にさらに成長する機会を与えようと考えている。
脅しになってしまうかもしれないが、もし、君が引き取ると言うのなら、その機会を破棄することになるんだよ。」


「それは、5年後に予定されているアメリカの姉妹病院への交換留学のことですか?」


院長「ああ。それもある。それに加え、来年の若手育成研修会に我が病院の代表として参加してもらいたいと考えている。研修会の期間は1か月。場所はオーストラリアだ。」


5年後のアメリカへの交換留学、これを目標にして僕は首席で卒業するために頑張った。

さらには来年のオーストラリアでの研修会。世界中から優秀なドクターが集まり、切磋琢磨し、1ヶ月で成長する。こんな機会、一生に一度だ。