悠久の絃

不思議と、もう悠先生は怖くない。
そもそも怖いと思っていたのかも分からない。

視界がぼやけてくる。今はそれが怖い。

私は悠先生の胸の中で発作を抑えようとしていた。



瀬堂「絃ちゃん!声聞こえる?お顔こっちに向けて欲しいな。」


聞こえる。だけど、顔が動かない。


赤城「いとちゃん、ごめんね。」


そう言って悠先生が顔を横に向けてくれた。



瀬堂「ありがとう。絃ちゃん、落ち着いてゆっくり深呼吸しよう。発作出てるからね。
お薬入れるね。」

プシュ

と、された。

でも、椎名先生の時みたいにすぐに楽にはならない。


瀬堂「ごめん。もう1回やるね。」

プシュ


瀬堂「よし、深呼吸しよ。」


しばらく瀬堂先生に合わせて深呼吸すると、苦しくなくなった。

瀬堂「そのまま深呼吸してね。もしもしするよ。」