理緒はスタジオに

「失礼致します、
お久しぶりです先生」

とお辞儀をした。

高杉の声も幾分、
柔らかくなっており

「あなたですか、
お久しぶりです」

と、会釈した。
理緒は、「ご無沙汰しております先生、
突然訪ねてきてしまい、申し訳ありません」
と突然の訪問を謝罪した。

「いえいえ、あなたがくるなんて
驚きましたよ、何かありましたか?」

高杉はかつての
理緒に向けていた厳しさは
みじんも感じしなかった。

「高杉先生に聞きたいことがあります」

「何でしょう?バレエのことなら
緑川先生が…」

「違います、バレエのことではありません」

理緒は、ここ数ヶ月で
あったことを
簡単に高杉に話した。
そして一番聞きたかった
質問をした。

「先生は私にバレエが
好きな人もいれば、
バレエをやっている
自分が好きな人もいる、

あなたは、そのどちらでもない、
そうおっしゃいました、
それは、どういう意味ですか?
それを聞きたいのです」


理緒は真剣に
高杉の瞳を見つめた。