誠一郎は、 理緒のカルテを見ながら 頭を整理した。 では、津川理緒は 病院に連れて 行かれなかったのも 暴行されて 放置されていたのも 母親が理緒の死亡時に 保険金を受け取るため…? それを、見兼ねた 津川亮二医師が 加納理緒を養女として 引き取った… 加納理緒の母親は 加納真理子ー 津川亮二の姉であった。 つまり、理緒は 亮二の姪(めい)に当たる。 「そういうことだったのか…」 誠一郎は、自分が 亮二から重い任務を 任されたと、このとき思い知った。