ワインとチーズとバレエと教授



2022年7月

一ヶ月後、 、理緒がいつも通り 
大学病院の精神科を訪れた。

大学病院では医者が待合室に行って、
患者の名前を読んで、奥の診察室に入ってもらう。
誠一郎は、理緒を呼ぶため、待合室に顔を出した。

「津川さん」

そう呼ばれて、理緒は待合室のイスから顔を上げた。

それを見るなり、誠一郎は、振り返ることもなく、さっさと診察室に戻り、椅子に座って、理緒の入室を待つ。

理緒はいつもより、遅目に
「失礼致します」
と礼儀正しく頭を下げて診察室に入ってきた。