「では、プリエから、一番から、アラセゴンからアンバーアンナバーを通って、右手を見ながらカンブレ、二番目、四番、五番同じ、最後はススしてアンオー、ストゥニして、アンナバーで終了」
これはバレエの基本的な動作だ。
音楽が流れる。
理緒はバレエのレッスン曲も好きだ。
それと同時に緑川先生の厳しい指導が入る。
「吉田さん、指先気をつけて、川村さん肩下げて、そう…四番でお尻は下に、もっと、吉田さん、指先って言ってるでしょ、何度も同じこと言わせないで、何してるの、五番キチンと」
プリエが終っただけで汗が吹きでる。
「では、タンデュ、五番正面
アンクロワで4回ずつ手は…」
そして、ジュテ、フォンデュ、ストレッチを加えたアダージョ、バットマン、だいたいこの流れでバーが終わり、次はトゥシューズに履き替えてセンターレッスンが開始される。
「まだ分からないの!?一番アラベスク、クロワゼと言ってるでしょ!?川村さん、それ二番よ!」
どんどん緑川先生がヒートアップする。
理緒は速いテンポの足技が苦手だった。
何よりそれは体力の無さが原因だった。
「津川さん、遅れてます、シャンジュマンのあとの
グリッサードがいつも遅いの、それでいつになったらカトルが出来るの?」
理緒は決して逆らわない。
無言でうなづいて、やり直す。
「そうでしょ?最初からそれやって、
あなただけに時間取れないの」
理緒は静かにうなづく。
最後はコーダとピルエット。
もうクタクタだ。
そして、レベランスをしてレッスンが終了した。
更衣室に行き、汗だくの身体で
スーツは着たくないので、
理緒は、持ってきたラフな服を着て帰宅した。

