亮二は思い出していた。
長崎の夜景を見て、バラ風呂ジャグジーで
はしゃいでいた理緒。
鉄板焼で、シェフがナイフとフォークの
パフォーマンスをしてくれて喜んでた理緒。
初々しく、全てにドギマギして
すぐ赤面する、子供っぽい理緒。
今の理緒は、堂々と、社交界やパーティーに
出入りして気品を保っている。
長崎の、あの初々しさはなく
ただ冷たい目で、機械のように微笑みながら
優雅に振る舞い洗練されたな言葉を使い
誰かに、何かを質問されたら、知性を感じさせる回答をしたあと、相手を立てて、最後に微笑むー
そして、自分の意思を
完全に見せなくなっていた。
理緒をそのようにさせたのは、何より、亮二の責任だった。
今回も罪滅ぼしの気持ちで理緒を誘ったー
理緒に喜んで欲しい。
前のような理緒を見たい。
そう思った。
でも、理緒の態度は一貫して冷たく、機械のようだった。

