その後、二人は会場を後にし
イタリアンで食事をすることにした。
イタリアンといっても
高級店に近いイタリアンを
亮二が選んで予約しておいた。
理緒が一番好きな店でバレエ鑑賞後には
よくこの店に来る。
「いらっしゃいませ津川様」
もう顔を覚えられているようで
スタッフがドアをあけて会釈した。
理緒も丁寧に会釈し微笑んでだ。
「本日もおきれいですね」
店長が笑顔で出迎えた。
理緒は、何も言わず微笑んだ。
もう、理緒は、全てを心得ている。
店内の通路は透明なガラス張りで
下には色とりどりの魚が泳いでいる。
この店は、店内全域がアクアリウムになっており
テーブルからは大きな水槽が見え
クラゲがユラユラ浮遊している姿が見え。
二人は店長の案内で個室に通された。
「最初の一杯は
何になさいましょう?」
店長が笑顔で、ワインリストを持ってきた。
「僕はビールで」
理緒は「お勧めの赤ワインはありますか?」
と告げると、店長は、
「本日はフランスのボルドーワインの
ムートン・ガル・ルージュがお勧めです」
「ではそれを」
「かしこまりました」
すぐに、アルコールが運ばれ
店長は手慣れた手付きでい
ワインをあけて
大きなワイングラスに注いだ。
「オーダーもよいかしら?」
「もちろんでございます」
理緒はメニュー表も見ず
「私は本日のグリーンサラダと、
バーニャカウダー、チーズの盛り合わせは、
出来ればチーズは…」
「ドライフルーツが入った
クリームチーズですね?」
店長が微笑んだ。
「ええ…バレてましたか」と理緒は可愛らしく微笑んだ。
本日はベリー系と、オレンジ系のクリームチーズがあるようだが理緒はベリー系の
クリームチーズを頼んだ。
亮二は今から急いでメニューを見た。
「えっと、ムール貝の
白ワイン蒸しと
ヒラメのカルパッチョと
牛頬肉の赤ワイン煮込み
あとは…」
理緒の顔を覗うと
「亮二さんのお好きなもので」
「とりあえず以上で」
「かしこまりました」
店長が下がったあと
二人はグラスをあげて乾杯をした。

