ワインとチーズとバレエと教授

翌朝、携帯電話が鳴った。父からだ。
誠一郎の携帯番号だけは、ボタン一つで繋がるよう
設定してある。

「…なに?」

誠一郎は、面倒くさそうに父親の電話を出た。

「か、かあさんが…」

「母さんが?」

「死んでしまった…首を吊っているんだ…」

誠一郎はガバっと身体を起こした。
すぐに自宅に行き、玄関を開けた。