ワインとチーズとバレエと教授

誠一郎は病室を後にし、父親のいる病棟へ向かおうとしたとき、医局員も
「先生、我々もご一緒させてください 」
と数名が言い出した。
みんな、父親を知っている世代の医局員ばかりだ。

「皆さん、父にこれ以上、気を遣わなくていいのですよ」

「いえ…我々も前教授には大変お世話になっておりますので…ご無理でなければ、どうか、ご同行をお許しください…」

皆が、かしこまるので誠一郎は、

「そんなに父に会いたいなら…」

と同行を促した。医局員はホッとした。理緒もそうだった。

内科病棟へ足を運び、そこには藤崎 彰一郎
(ふじさきしょういちろう) と書かれた名札があった。

彰一郎とは誠一郎の父だろうー

「父は退官したとき65歳で、もうあれから4年経過し、69歳になってます、まともに話せるか分かりませんが、大丈夫ですか?」

誠一郎は理緒に問いかけた。

「私は大丈夫です」

誠一郎は医局員にも目を配らせたが、みんな静かにうなづいた。誠一郎はコンコンと病室のドアをノックスし静かにドア開けた

「父さん」