ワインとチーズとバレエと教授


金曜日の夜、理緒は誠一郎の家に向かった。
誠一郎が帰ってくる前に、料理を作ろうと思った。

誠一郎は和食が好きそうなので、理緒が考えたメニューは懐石だった。

本格的なものではないが、冷凍食品では味気ない。
前日から、出汁を取り料理を仕込んでおいた。

それに、誠一郎のキッチンを、なるべく散らかさないようにパパッと作れるように準備をしておきたかった。

「誠一郎さん、喜んでくれるかしら」

そう思う理緒は張り切って料理の準備をした。

あとは、パジャマや下着や化粧品なども持って来た。きっと、泊まることになるだろうと思い、メイク用品や化粧水なども準備した。

荷物がかなり重くなったが、タクシーで誠一郎の家まで移動し、ポストの中に置いてあった鍵を使い、誠一郎の部屋に入った。

ここに来るのは2度目だ。相変わらず簡素な部屋だ。

理緒がさっそく台所に向かい料理を作り出した。

誠一郎が帰宅したのはそれから2時間後の夜の9時頃だった。

誠一郎は、玄関に明かりが灯っていたので、
理緒が来ているということは分かった。

誠一郎が胸は弾んだ。玄関を開けると理緒が

「誠一郎さん、おかえりなさい」

と笑顔で出迎えた。

もう、"先生"から"誠一郎さん"に呼び方が戻ったようだ。

「…あぁ、ただいま」

誠一郎は、なんだか照れた。まるで新婚生活のように感じた。

そして部屋からはとても良い香りがした。

誠一郎がリビングに向かうと、そこには、とんでもないものがテーブルに置かれていた。