「…もしそうなら…私はどうしたら、先生を喜ばせれるか…少しでも癒せるか…勝手にですが、考えていました…」
理緒は、誠一郎が思っているより、深く人の心を洞察してる。たぶん、それは当たっているのだろう。
「なら、私の傷を癒せるのは、同じ傷を共感出来るあなただけと、私が思ったのでしょう……自覚はありませんが、あなたがそこまで考えていると思いませんでした」
「……余計なお世話でした、でも、私が先生の側にいたら、先生は休めなくなりそうな気がして…」
いつの間にか「誠一郎さん」から「先生」に戻っている。
「…休めないなんてことはありません。あなたがいない生活の方が、今は考えられません。でも、傷を癒やすためにあなたと居るのではなく、愛しているからです」
「……分かってます…変な話をごめんなさい…」
誠一郎は、理緒の顔を覗き込む。
理緒が、申し訳なさそうに微笑んだ。
「……おやすみ」
誠一郎は理緒のひたいにキスをした。
理緒も「おやすみなさい」と、誠一郎が無意識に
カリッと引っ掻く左手の甲にキスをした
──いつからだろう…
こんなに彼女に 惹かれるようになったのは…
彼女を見ていると自分の思い出してはいけない
「何か」を、思い出しそうになるー
その「思い出してはいけない何か」さえ、
思い出せないー…
そして「思い出してはいけない何か」を
理緒はすでに、知ってるように感じるー…

