「そんなに気に入りましたか?」
「はい!とっても美味しかったです」
理緒が笑顔でそう言う。
冷凍食品がそんなに美味しいのか。
誠一郎は食べ終わると、クローゼットの中を見渡し
理緒が着れそうな部屋着を探した。
白いシャツにグレーのパーカー、下は黒のゆるめのパンツ。
これくらいしかないー
あとは、パジャマくらいか…
それを理緒に手渡した。
「ドレスで過ごすのは大変でしょ?ラクな格好が良いと思い、用意しました。あなたのサイズには
合わないでしょうが、今日のところは、これで我慢してください」
「……ありがとうございます」
「えっと…寝室を使ってください。そのまま、寝てもいいですよ。寒くないですか?」
「はい、大丈夫です、あの、私、ここに居ても…?」
「えぇ、出来れば一緒にいてください。もし良かったら、明日、出勤する前、あなたを車で送ります」
「…嬉しです…」
理緒がまた赤くなってる。
「では、あの、寝室をお借りします」
「どうぞ」
数分後、恥ずかしそうに、理緒が寝室から出てきた。あきらかにサイズが合ってないので、
パーカーも、パンツもブカブカだ。
誠一郎はそんな理緒の姿を滑稽に見えてしまい、
笑いそうになった。
「……貸してくださり、ありがとうございます、
あと…薬を飲みたいのですが…」
「あ、そうでしたね」
誠一郎は、冷蔵庫からミネラルウォーターを出した。
「…ありがとうございます」
理緒がカバンから薬を出し飲んだ。
高濃度のビタミンと漢方、あとは、炎症止めだ。
まだ朝の11時だか、ホテルから移動したり、
慣れない部屋に来たり、理緒は緊張しているだろうと思った。
「良かったら寝てください、それとも、また
コーヒーか紅茶でも?」
「あの、休みます…食べて、寝てばかりですみません…」
「それが今のあなたの普通ですよ。好きなだけ寝てください、私はパソコンで少し作業します」
「……はい」
理緒がブカブカの部屋着で寝室へ向かった。
その格好が、また可愛らしかった。
その後、誠一郎は、パソコンをひらいて、論文のチェックや、頼まれた原稿を書いた。
一時間位が経過したあと、ふと、理緒の事が気になった。
寝れてるだろうか?
何も音がしないから寝てるのか?
何となく寝室を覗いた。
理緒は、スヤスヤ眠っていた。
ならいい…
そう思って寝室のドアを閉めようとしたが、
誠一郎は、理緒に近づいて、寝顔を覗き込んだ。
理緒がここで安心して眠れるのは、自分のことを信頼しているからだ。
そしてここが、安全な場所だと思っているからだ。
そして、疲れているからだ。
理緒の寝顔は天使のようだ。
誠一郎は、理緒が起きないようそっとひたいにキスをした。
そして、静かに寝室を出た。

