ワインとチーズとバレエと教授



そりゃ、モデルの依頼も来るだろうー
それが、誠一郎の感想だった。

その他は、亮二の財力からだが、医者で独身なら、毎月は無理でも年に何回かは、海外やハイグレードなホテルは連れていけるだろう。

そのインスタには、虐待され、ボロボロの理緒の影はないー

モデルの理緒は、本当に美しかった。
どこかの雑紙に掲載されても、おかしくないくらいだった。

バレエを観賞し、オーケストラを観賞し
演劇を観賞し、その後は、有名レストランで食事ー
そんな、インスタの写真だらけだった。

だから、国家公務員の誠一郎は、理緒が満足する場所選びに苦戦していた。

なのに、理緒は動物園に行きたいと言うし、
それ以降は、誠一郎に任せるという。

今は冷凍食品のロコモコ丼をほおばって 
誠一郎が入れたコーヒーを飲んで

「幸せ」

と言っている。

それが、誠一郎には胸が痛かった。

そして本当は、理緒は誠一郎が思うほど、セレブリティな生活に興味は無いのかも知れない…と思った。 

本来の理緒は、バレエはしたくとも、質素な生活を
好んでいる様にも見える。

パーティー三昧をしたそうにも見えたことはない。
装飾品も身に着けていない。
そして、理緒は亮二の家を出ると、すぐ働き出した。
本当は、理緒は、そこまでハイグレードな生活を望んではいなかったのだろうかー?

聞きたいことが沢山あるが、その話をすると、亮二が絡んでしまうので、今はやめておいた。

理緒の箸がいつの間にか止まっていた。

「お腹いっぱいですか?」

「……はい、ごめんなさい、残してしまいました」

ハンバーグ半分、
目玉焼き半分、
ポテト半分、
ご飯は四分の一、
食べたかどうかだ。

「もう少し食べれませんか?」

「……あの、良かったらあとで食べます、フタをしめて、取っておいてもらってもいいですか?とても美味しくて…」

「ええ、いいですよ」

誠一郎は、ロコモコ丼のフタをしめた。