誠一郎は鍵を開けて「どうぞと」と理緒を入るよう促した。
誠一郎の部屋は3LDKの広々とした部屋であったが、
生活感が感じられないほど何もなかった。
キッチンとテーブルと書斎と寝室。
部屋はほとんど 書籍で埋まっていた。
数え切れないほどの本や文献、そしてディスクの上には高く積み上がった本とノートパソコンー
部屋の床は白の木目で、戸棚やディスクは黒の
モノトーンで統一され、現代モダンの部屋だった。
「…失礼します」
理緒が恐る恐る部屋に入った。
「お好きなところに座ってください、コーヒーか紅茶ならどちらがいいですか?」
「せん…誠一郎さんが飲みたいもので」
「では、コーヒーにしましょう」
エスプレッソマシーンにコーヒー豆を入れ、あとは
機械が勝手に操作してくれる。
「まあ…すごいのね」
「安い豆ですよ」と誠一郎が言うと
「でも誠一郎さんが入れると、ブルーマウンテンの香りがするわ」
「それは褒めすぎです」
と、誠一郎は笑った。
理緒はある程度コーヒーの銘柄が、分かっているらしい。
「砂糖とミルクは?」
「私はブラックで」
「そうですか、私と同じですね」
エスプレッソマシンから二人分のコーヒーが注がれ
そのカップを誠一郎は理緒にそっと手渡した。
「頂きます」
理緒が誠一郎が入れてくれたコーヒーが嬉しかった。
それからホテルで朝食ビュッフェをとってこなかったので
「冷凍食品で申し訳ないですが、何か食べたいものありますか?」
と冷凍庫の中を誠一郎があけ、その中から、好きなものを理緒に選ばせた
ハンバーグと目玉焼き
ミートソースパスタ
ロコモコ丼
野菜炒め
冷凍フルーツなど、
様々な冷凍食品が
ストックされている。
「えっと…誠一郎さんが食べるものを
一口頂いていいかしら…?」
「食べきれなかったら、残しても構いませんよ、
あとは、私が食べますから」
「……では、ロコモコ丼を食べてみたいです」
「では、私はハンバーグと目玉に」
それを取り出し電子レンジで温めて完成。
「せっかく来てくれたのに、マトモな朝食を用意出来ずに申し訳ありませんね」
誠一郎は、申し訳なさそうに言うと、理緒は、ロコモコ丼のフタをあけ
「わぁー、本物のロコモコ丼と同じだわ!
すごい美味しそう!」
と、目を輝かせていた。
誠一郎に箸を渡され二人は「頂きます」をした。
理緒が「…美味しい今まで食べたハンバーグより
誠一郎さんのロコモコ丼の方が美味しい
それに、誰かにコーヒーを入れてもらうなんて生まれて初めて…幸せ…」
理緒が幸せそうに冷凍ロコモコ丼とコーヒーを飲んでいる。

