お姉さんはわたしの手首を掴んで、人混みの方へ引っ張っていく。




「おい、待てよ! 弥世を連れてってまたひどいことする気か!?」


「通してくださいませ」


「おぉ……」




お姉さんが声を掛けると人混みが割れて、わたし達が通り過ぎると元に戻る。




「通せって! おい、どいてくれよ!」


「何を騒いどるか! 先ほども神聖な舞を邪魔しおって……子供は家に帰りなさい!」


「カキの木のじいちゃんっ、あいつ、悪いやつなんだって! 弥世がまたとじこめられる!」


「巫女さんを侮辱するなど……! ええい、親共々説教してやる! 来い!」


「はなせよ! 弥世!!」




人混みの向こうで、永悟が叫んでいる声が聞こえた。

わたしは思わず永悟の方に行こうとして、お姉さんに強く手首を引っ張られる。




「永悟……っ」