「山に入ってはいかん!」
「な、なんだよ、カキの木のじいちゃん……!」
「戻ってきなさい。話はそれからじゃ!」
「げげ……」
「……」
わたしは永悟を見て、嫌そうな様子を眺めながら、一緒に男の人の元へ戻った。
木々の中から出ると、男の人はしわが沢山ある顔を厳しく顰める。
「よいか、整備された神社ならまだしも、他の場所に入ってはいかん!」
「なんだよ、ちょっとくらいいいじゃん……」
「こらっ! よく聞きなさい。この深山では昔、人身御供があったんじゃ」
「ひとみごくう……?」
首を傾げると、男の人は目を瞑って、腰の後ろで手を組んだ。
「山で土砂崩れや神隠しが起きないよう、人を捧げて神様のお怒りを鎮めることじゃよ」



