【短】みやまの花嫁



初めて出会った、男の子。

太陽みたいな笑顔の、男の子。

元気いっぱいで、わたしが知らないものをよく知っている……。




「……ありがとう」


「何がだ?」


「声を、かけてくれたこと……食べ物を、くれたこと……知らないものを、教えてくれたこと……」


「……おう」




永悟は瞬きをして、頬を搔きながら視線を逸らした。




「弥世って無口なくせに、お礼だけはよく言うよな……」


「いつも、感謝の心を持ちなさい、ってお姉さんがよく、言うから……」


「へ~、姉ちゃんがいるんだ? おれんとこは兄ちゃんがいるぜ」


「そう、なんだ……」




永悟は、お兄さんと一緒なのね。

女の子は女の人、男の子は男の人、なのかな……。