「おばちゃーん、これもいっしょに入れちゃっていい?」
「はいはい、いいわよ。串はちゃんと燃えるゴミの方に捨てなさいね」
「分かってるって! ほら、行こうぜ」
「……」
振り返って笑った男の子は、石畳を奥の方へ歩いて行く。
串と瓶を両手に持ったまま、その背中を追いかけると、男の子は屋台の外れの置物に近付いて行った。
「お前お祭り慣れてないみたいだし、ここでいったん休もうぜ」
「……ありがとう」
「いいっていいって!」
横に長い椅子みたいな置物に座った男の子を見て、わたしも隣に座る。
男の子は瓶に口をつけたみたいだったから、わたしも恐る恐る、瓶に口をつけて中身を飲んでみた。
しゅわっ。
舌を刺激する感触に驚いて、左の手の甲で口を押さえる。
しゅわしゅわして、少し舌が痛いけど、甘い……。



