「屋台で“買う”ってのも楽しいからな。お前も自分で買ってみろよ」
「……」
わたしは銀色のおはじき、ううん、おはじきよりももっと薄いそれをじっと眺めた。
“買う”。
どうしたらいいんだろう……男の子の真似をすればいいのかな。
「おばちゃんに“ラムネ1つちょうだい”って言ってお金わたすだけだぜ。……あ、まぁラムネじゃなくてもいいけどさ」
「……」
銀色のものと男の子の顔を見比べて、ごく、と唾を飲んだ。
屋台の前に行くと、右手に持った銀色のものを差し出して、女の人を見る。
「ラムネ、1つください……」
「はいよ」
お姉さんよりも年を取っている女の人は、にこりと笑って銀色のもの、お金を受け取った。
それから、傍にある大きな青い箱を開けて、氷水で満たされた中から不思議な瓶を取り出す。
布巾で瓶の周りをぐるりと拭うと、「はい」とわたしに差し出した。



