学校が再び休校になった。

その間に橋谷先生のお通夜に、私達二年三組の生徒は参列した。



小さな男の子が、ちょこんと式の会場のすみでイスに座っていて。

きっと橋谷先生のお子さんなんだろうなと、ぼんやり思った。

その子のそばにはキレイな女性が座っていた。



ぼんやりと、どこかを見ている。

腫れた目元。

疲れた表情。



「あの人、橋谷先生の奥さんだって」
と言ったのは、私の後ろに並んでいた誰かで。



「まじ可哀想」

「息子さんも小さいのにね」



その会話に。

見えない壁を感じた。



橋谷先生のご家族のこれからと、自分達のこれからは。

交わることなんて決してないという関係の無さからの安心感が混ざったような、ある意味での残酷な壁を感じた。




お通夜の帰り道。

電車に乗り、どっと疲れた体を座席にうずめて。

橋谷先生のことを考えていた。



今年の四月のある日。

橋谷先生に廊下で呼び止められたことを思い出す。