息吹ちゃんがまっすぐにその人を見つめて言った。 「事件……」 と、その人の不安そうな声は、少し震える。 「加瀬さん、私達に話してくれますか?あの日のことを」 息吹ちゃんの言葉に、目の前の彼女は頷いて、顔あげた。 彼女……、加瀬 有沙さんの目は、不安そうでありながらも、どこか凛とした、強い眼差しがあった。