息吹ちゃんは、声のトーンを落として続ける。
「時田さんは、北校舎の屋上から落ちたんだと思う。屋上から落ちたから、……あそこが犯行現場だから、立ち入り禁止になってるんだよ。警察の捜査だってあるだろうし」
「なるほど、そうか」
「でも、死にたいと思っている人が、あの場所から……、その、飛び降りようとは思わない気がするんだ」
「?……どういうこと?」
息吹ちゃんは苦しそうな表情になる。
「こんなこと言うのは、適切じゃないと思う。でも、これはあくまで私の考えだから、そう思って聞いてね」
「うん」
「……私だったら、もし死にたいと思っても、あの場所から落ちて死のうとは考えない。だってね」
「うん」
「だって、確実に死ねるかわからないから」
「えっ……!?」
思わず息吹ちゃんを凝視してしまう。
息吹ちゃんは慌てて、
「不適切なこと言って、ごめん」
と、謝った。
「いや、大丈夫だよ。私達だけの会話だし。これは息吹ちゃんの推理だから」
私は内心では驚いていたけれど、自分にも言い聞かせるように息吹ちゃんにそう告げた。



