「おかしい……」
と、息吹ちゃんが呟く。




門倉さんが美術室に戻って。

私達は学校の最寄り駅のそばにある、クレープ屋さんに来ていた。

今日は私と息吹ちゃんで、寧々様にいつもお菓子やお茶をご馳走になっているお礼として、ふたりで寧々様におごっている。



「何が引っかかるの?」
と、バナナのチョコレート掛けクレープを頬張る寧々様が尋ねる。



「竹中先輩を市川さんが殺せるかな?」

「え?」
と、寧々様。



私も引っかかっていた。

寧々様に、息吹ちゃんの推理を話す。



暴れる人を女性の力で絞殺出来るのか。

しかもその殺害後、女性ひとりで死体を運べるのか。



「だから私達は、男性が犯人だと思ってたんだ」



寧々様は「ふぅーん」と言って、
「今、聞かなけりゃ良かった。クレープが、美味しくなくなる……」
と、眉毛を下げる。



確かに。

そう思って、それからは事件とは関係のない話をしてクレープを味わい、寧々様とは別れた。