かすかに聞こえた太一さんの言葉の意味なんてわかんなくて、目の前の二人を見たらちょっとだけ顔が赤い。


 特に、雛太。



今日は珍しい雛太のオンパレードだ。


「帰ります!」

「雛太!?」

 ガタっと席を立つ雛太。

杏ちゃんも慌てて後について、ペコリと一礼した。


相変わらず太一さんは楽しそうだ。


 玄関の雛太に駆け寄ると、ものすご~く怒ってる。

あたしってばなにかしちゃったのかな、なんてちょっとだけ落ち込んでいた。


「あの人、やめたほうがいいよ!」


 雛太は剣幕な表情を隠しきれていなくって、あたしがひるんでしまった。


言い残すかのように扉の向こうに消える。

瞬間、肩を叩かれてさっと人影があたしを通り越した。


「未来、がんばってね!」


 雛太とは対照的に、杏ちゃんはなんだか楽しそうだ。

学校で待ってるよと添えて、そのまま帰ってしまった。