昔から明るくて、優しくて、面倒見がよかった。

 おまけに顔もカワイイもんだから、先輩後輩関係なくモテて、オレは何度も嫉妬した。


 ずっとやっていたバスケも、少しでも目立ってサトの気を引きたかったから。

それでも、培った長い友人関係を壊してまで、一歩近づく勇気はオレにはなかった。


 中1のときに、告白された同じ部活の2つ上の先輩とヤケになって付き合ったこともある。


 結局、目で追っていたのはサトで、その先輩とは3ヶ月ももたなかったんだけど。


「女の子には優しくしなきゃ!」

っていつもサトに怒られていた。


 優しくしたいのは、他でもない、サトだけだった。



 次第に追い越した背は、まさにオレの勇気と反比例。

時間が経つにつれて失う怖さのほうが勝っていく。


 そうして何もしないまま時は流れる。

このまま、変わらずずっと二人だと思っていたけれど、高校入学によりオレたちは少しだけ変化した。


 同じ高校だけど違うクラスになったって、サトとは仲がよかった。

そんなとき、たまたまオレのクラスメイトである怜が、サトを見つけた。


 よく話しかけられる程度だと思っていたヤツ。
それが急にオレと親しくなりたがってて、変だとは思った。

皮肉なことに、怜もずっとバスケをしていて体格もいいし、明るくて、本当にイイヤツだった。


出会って間もない、ちょうど今ぐらいの夏に向かう頃。



「中谷さん、オレを彼氏にしてみない?」