サトは料理部の部長。

昔から料理が好きなサトは、高校の現在でも楽しそうにキッチンに立つ。


 運動部にインターハイがあるように、この地区には料理部のコンテストがある。

先日、それで優勝して、オレのバイト先が知られたってわけだ。



 オレの質問に、自分のことのように怜は嬉しそうに話し始めた。



「そうなんだよ。テーマは……『大切な人への弁当』だって」



 サトの大切な人。

目の前のでかい怜をじっと見つめた。



「ウマかったんだろう?」


 もちろん、怜のために作ったのだから。


 冷やかし半分で聞いたオレに、少し驚いた怜。

一瞬間をおいて、あの独特の微笑みを返すだけだった。