「……ほら、これ」

 お参りの後、太一さんは小さな紙袋を渡してきた。


 さっきすこし言い過ぎてしまったことを、反省はしてる。

だけど、すぐ切り替えられなくて。


 あたしは恐る恐る受け取った。


「オレも…持ってた」

 そういって笑ってくれるから、ほんのちょっとほっとした。


 中身は、青い独特の模様が入ったお守り。

真ん中にはもちろん『学業成就』と大きく書かれていた。


「受験、あと少しだしな」

 すっと手が伸びてきたから、またデコピンかなんて思ってた。

でもその手は優しく、くしゃっとあたしのクセ毛を愛でるように撫でられた。


 あたしはなんていっていいか分からなくなって、ようやくのどから搾り出した。


「ありがとう、ございます……」

 こんなにも優しくしてくれているのに、あたしときたら八つ当たりばかりして。



 ホント、自分がコドモすぎる―……。

涙が出そうになるほど嫌になる。


でも、そんなときに限って、太一さんが優しくしてくれるから甘えてばっかりだ。


「あの、太一さん……」

 あたしの声はきちんと届いて、人ごみの中ふりむいてくれた。