近頃、小テストでは下降気味だった。

だから福原先生からは心配されてしまっていた。


「だーかーらぁ、また同じとこで間違えてる!」


 その心配は、手厳しい“先生”が、また戻ってきたから大丈夫……のはず?


 怒られっぱなしも癪(シャク)なので、

「太一さんの教え方が悪いんじゃないですかっ?」

 と、反撃してみる。


ぷいっと目を顔を背けたけど、本当は怖くて目を見れないんだけ。



「ふーん……」

 そんなあたしに、呆れたように呟いた声が響く。


 すこしやりすぎてしまっただろうか。

それ以上は何も言わない空気が嫌で、恐る恐る見上げる。




すると、


「隙あり!」

 言うなり、ぎゅっとあたしの鼻をつまんできた。


「いはーいっ!」

 ただでさえ外は寒いのに、これ以上鼻を赤くさせないでほしい。

必死に抵抗して力の強い太一さんの手を外すことに成功すると、いたわるように優しく鼻の頭を撫でてやる。


 太一さんってば容赦ないから困るんだ。